研究課題/領域番号 |
21330156
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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研究分担者 |
小島 康生 中京大学, 心理学部, 准教授 (40322169)
塚田 みちる 大阪国際大学短期大学部, 幼児保育学科, 准教授 (20410631)
矢野 円郁 中京大学, 心理学部, 助教 (10510414)
本城 秀次 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 教授 (90181544)
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キーワード | 気質 / 自己制御 / 実行機能 / 生育環境 / 発達期待 |
研究概要 |
コホート2協力者から男児9名・女児6名の計15名に対して4歳齢時点での調査を以下の要領で実施した。 (1)CBQ日本語翻訳版を使用して、母親回答による子どもの気質測定を行った。(2)葛藤体験質問項目を用いて3歳齢時(回想)と4歳齢時の子どもの葛藤体験の頻度の調査を実施した。(3)行動的抑制傾向の測定(場所に対する抑制場面・人物に対する抑制場面・身体測定場面を設定して新奇な出来事に対する抑制場面)とエフォートフル・コントロールの測定(「カード集め課題」「お絵かき課題」「待っててね課題」「ゴー・ストップ課題」)を行った。(4)子ども用ストループ課題を用いて子どもの実行機能(主に抑制面)における個人差の測定を実施した。(5)子どもの従順性測定を行った。実験は3分間の「自由遊び場面」と,3分間の「片付け場面」の2つのエピソードで構成した。自由遊び場面では,子どもがおもちゃ箱から自由におもちゃを選んで遊んだ。3分間の自由遊び場面が終了したところで片付け場面に移行した。 2歳齢~4歳齢の縦断データを分析した結果、行動的抑制傾向に関しては、人に対する抑制についてはある程度の個人差の安定性が観察された。エフォートフル・コントロールについては個人差に一貫性が認められないという結果になった。この結果は、エフォートフル・コントロールは養育環塊によって影響を受けるという観点から考えると妥当であるが、そのメカニズムについて明らかにするには、養育環境に焦点を絞った研究が必要であると考えられた。 上記のような事情で、発達初期の養育環境の要因を絞り込んで検討する調査(コホート3)を実施した。 名古屋市の5区の住民基本台帳から無作為抽出した500名の第一子の家庭に質問紙(養育環境について詳細に尋ねる項目・気質測定項目)を2011年6月に送付し267名から回答を得た。さらに、2012年3月に追跡質問紙調査を実施し、113名から回答を得た。 就学前期~青年期の対人場面での自己制御に関する縦断データ分析の結果、就学前期の行動的抑制傾向はその後の対人場面での自己実現的自己制御行動を予測するとの知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コホート2への縦断研究協力者の個人的な事情(転出・母親の就労など)で追跡データの収集が計画通りに進んでいないが、それを補充するコホート3を追加することにより、発達初期の生育環境が子どもの気質の発達に及ぼす影響を明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
コホート2の分析から示唆された問題点を踏まえて、コホート3に対して質問紙調査・行動観察調査を実施する。
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