研究課題/領域番号 |
21330156
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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研究分担者 |
小島 康生 中京大学, 心理学部, 准教授 (40322169)
矢野 円郁 名古屋女子大学, 文学部, 講師 (10510414)
塚田 みちる 神戸女子短期大学, 幼児教育学科, 准教授 (20410631)
本城 秀次 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 教授 (90181544)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 気質 / 自己制御 / 生育環境 / 発達期待 / 実行機能 |
研究概要 |
コホート3の研究協力者を対象に、以下の2つの実験的観察を実施した。 (1)協力者が24ヶ月齢に達した段階で、母子の相互作用の観察を大学実験室にて行った。来室した子どもと母親が一つの玩具を完成させる過程を自由遊びという文脈で行ってもらい、その場面での母親の行動や子どもへの言葉かけ・子どもの行動や情動表出を観察した。この行動観察への参加者は20名である。 (2)協力者が30ヶ月齢に達した段階で、以下の課題を設定して気質測定を行った。①実験室での子どもの一人遊び・初めての人物への反応・新奇な玩具への反応から、行動的抑制傾向の個人差を測定した。②直線の描画・順番遊び・満足遅延・運動抑制課題への反応から、エフォートフル・コントロールの個人差を測定した。この行動観察への参加者は20名である。 コホート2の縦断データの分析から、①発達初期のエフォートフル・コントロールの変容の可能性、②従順性の発達には乳幼児期のエフォートフル・コントロールが関与することの可能性、③葛藤を体験するだけでなく葛藤を解決する体験をすることがエフォートフル・コントロールの発達を促進し、従順性の発達につながることの可能性、の3点が示唆された。 コホート3の質問紙調査の縦断分析から、①発達初期にみられる新奇な状況・人・モノへの行動的抑制傾向は、9ヶ月後の人に対する「引っ込み思案」を良く予測すること、状況やモノへの「怖がり」をも予測するが、「引っ込み思案」と「怖がり」はある程度分化してくることが考えられた。②発達初期のエフォートフル・コントロールは9ヶ月後の当面の課題から注意をそらせ別の課題へ移る能力や知覚的敏感性を予測し、それらが不適切な行動や反応を抑制する能力に結びついていくと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質問紙調査により発達初期の養育環境に関するデータの得られているコホート3を対象に行動観察データを収集し、研究課題が目標としている子どもの気質の発達と発達初期の養育環境との関連を明らかにするデータが揃いつつある。ただ、30ヶ月齢時点で実施したエフォートフル・コントロール課題が子どもの月齢に比較すると難題であったため、気質的個人差を適切に反映していない恐れがある。この点に関しては、今後、データ分析の段階で抽出変数を工夫するなどして対応したい。
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今後の研究の推進方策 |
コホート3の追跡縦断調査を実施する。 (1)2回の縦断質問紙調査に回答の得られている研究協力者127名が3歳齢に達した時点で、質問紙調査(CBQによる気質測定,対人場面での自己制御行動測定、親の発達期待)を実施する。 (2)縦断観察調査へ参加協力の意思が得られており、24ヶ月齢で母子相互作用のとれている子ども20名に対して、行動的抑制傾向・エフォートフルコントロールを測定する実験的観察を実施する。 (3)縦断観察調査へ参加協力の意思が得られており、30ヶ月齢で行動的抑制傾向・エフォートフルコントロールの測定をしている子ども20名に対して、対人場面での自己制御行動の観察を行う。
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