本研究は、適応指導教室の現状について明らかにした。スタッフの不足、通室している児童生徒に対する学力の補償、適応指導教室の規模について考察した。また、適応指導教室に通室している児童生徒の声を取り上げることが出来た。不登校児童生徒の多様化・複合化があり、1年以上も適応指導教室に通室している児童生徒が48.1%もいた。 また、不登校児への抑うつ感を取り除くための支援として、描画療法を取り入れた支援、箱庭療法を取り入れた支援、グループアプローチを取り入れた支援を紹介した。これらのプログラムは、子どもたちのアセスメントを十分に取り入れての実施が必要であり、グループ活動の後には、一人ひとりに対する個別のカウンセリングを組めるような体制が望まれる。学習を取り入れた支援として、小プログラム学習を取り入れた支援、コミュニケーション学習を取り入れた支援、ストレスマネージメント学習を取り入れた支援をまとめた。適応指導教室に留まりすぎることを防ぐためにも、学習を積極的に取り入れる方法について実践的に明らかにした。また、指導員等の得意とする内容を工夫して、学習を積極的に取り入れるためにも、指導員の専任化が望まれる。 現状の適応指導教室では、指導体制と施設設備等で限界がある。こうした限界に積極的に取り組んでいたのが先進的な取り組みとしてみられる。兵庫県立但馬やまびこの郷(不登校児童生徒の体験活動の取り組み)、京都市立洛風中学校(不登校生徒対象の市立中学校)、福岡市立えがお館(相談機関の統合。福祉、警察等との日常的な連携)等の実践を紹介した。先進的な取り組みは、より効果的な支援の一助になるものと期待している。 報告書を全国各地の適応指導教室(約1300ヶ所)に、配布し、本プログラムを参考にしての創意工夫した実践を望むことと今後の連携をさらに期待するものである。
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