研究概要 |
今年度は、昨年度に引き続き、社交不安、および、発達障害を有する実験参加者を対象に、感情認知パラダイムによる横断的研究と、認知行動療法による介入にともなう認知機能・脳機能の変化の計測を行った。 NIRSを用いた脳機能計測では、前年度までの横断的研究に加え、約20名の実験参加者を対象に集団認知行動療法の介入前後でのNIRS応答のパタンの比較を目的とした実験を行った。介入前後で有意な社交不安、特性不安、抑うつの低下が見られ、また、プレゼンテーションに対する自己評価の有意な上昇が見られた。NIRSの応答については、今年度も引き続き同様の介入実験を実施し、昨年度観察されたスピーチ前後の高社交不安者の前頭の過活動が追試できるか、またそれが介入後に変化するかを検討する。 また今年度は、これまで行ってきた質問紙、眼球運動測定、NIRSに加え、fMRIを用いて脅威表情認知の脳内基盤と不安傾向の関係を検討した。不安水準の違いによって脅威表情認知課題中の脳活動の強さが異なる領域が複数見られることが明らかとなった。認知行動療法による介入前後の脳活動の比較もケース数を増やし実施する予定である。 発達障害を有する実験参加者を対象とした研究については、今年度は,発達障害のある児童・生徒の視覚・認知的特徴を先行研究の知見にもとづいて明らかにし,その特徴に適した教材の開発または指導方法を探った。大学生を対象とした実験により,眼球運動上の変化を検討することで,効果的な視覚的ガイドの提示方法を検討した。
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