研究課題
自閉症児は、発話者の視線の先にある新奇物に発話者が発した新奇語を付与するような「視線を参照しての語彙学習」に特異性を持つことが示されてきた。本研究では、アイトラッカー(眼球運動追跡装置)を用い、自閉症児が発話者の視線を参照して新奇語と新奇物との間の関連を学習する際、どのような側面に困難を示すのか、注視パターンを含めて検討した。実験1により、発話者と参加者の見ているモノが不一致な場合、新奇語を発話者の視線の先の新奇物にマッピングする傾向が、自閉症児は定型発達児にくらべて小さいこと、また、不一致条件において、発話者の視線の先のモノへの注視時間が定型発達児にくらべて短いことが示された。そこで、実験2では、発話者の視線の先のモノを動かし顕著性をあげ、実験1の追試を行った。その結果、発話者と参加者の見ているモノが異なる不一致条件においても、自閉症児も定型発達児と同じように、新奇語を発話者の視線の先の新奇物にマッピングすること、発話者の視線の先の新奇物への注視時間も長くなることが分かった。さらに、実験3では、発話時の視線方向に加えて指差しを呈示し、参照的手がかりを増やした。その結果、やはり、発話者と参加者の見ているモノが異なる不一致条件においても、自閉症児は定型発達児と同程度に、発話者の視線と指差しの先のモノに新奇語をマッピングすること、発話者の視線の先の新奇物への注視時間も長くなることが示唆された。発話者の視線の先のモノを揺らして目立たせるという簡単な操作や、視線に加えて指差しなどの社会的な手がかりを追加することにより、参照性が上がり、自閉症児の新奇語学習が進む可能性が示唆された。
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