研究課題/領域番号 |
21330169
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 周司 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (10239600)
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研究分担者 |
積山 薫 熊本大学, 文学部, 教授 (70216539)
樋口 貴広 首都大学東京, 大学院・人間健康科学研究科, 准教授 (30433171)
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キーワード | 知覚-行動系 / 実環境 / 知覚心理学 / スポーツ / 歩行 / 左右差 / 音楽 / 言語 |
研究概要 |
1.スポーツにおける予測と主観的運動強度の定量的評価(森とF.Mullerが担当)ラグビー、サッカー、バレーボールにおいて熟練選手の予測を心理物理実験で検討し、いずれのスポーツでも熟練選手は未経験者よりも速く正確に予測することが分かった。主観的運動強度の評価については、ドイツで用いた評価尺度の日本語版を用いた予備実験を行った。 2.歩行中の空間認識における左右差の分析(樋口とL Maloneyが担当)歩行への利き目の影響を実験的に検討した。その結果、右利き目者の場合、利き目を遮蔽した場合に歩行が利き目と逆である左側に偏寄し、歩行課題と空間二等分課題の結果の間に有意な正の相関がみられた。左利き目者では、利き目遮蔽による影響は見られず、歩行課題と空間二等分課題の間に有意な相関はなかった。以上の結果から、左利き目者の歩行中の空間認知は、上肢動作中になされる空間認知とは異なることが示唆された。 3.音楽家の第2言語習得能力の検討(積山と貞方マキ子が担当)日本語の促音に関して、日本語母語者とオランダ語母語者の音声知覚特性を行動実験とEEG実験で検討した。その結果、音楽家と非音楽家の違いはほとんど見出せなかったが、日本語母語者では促音中に無音部が存在するか否かにかかわらず促音を「無音の一拍」としてとらえる傾向があり、オランダ語母語者では促音中の無音部の有無をより正確にとらえることが分かった。 以上の研究成果については、9月の日本心理学会(東京)や10月のInternational Society for Psychophysics(ラナナ、イスラエル)など国内外の学会で発表するとともに、Attention, Perception, & Psychophysics誌等に論文が掲載された。また、ルネバーグ(ドイツ)でワークショップを主催し、森、樋口、貞方、Mullerが研究成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スポーツにおける予測、歩行中の空間認識における左右差の分析、音楽家の第2言語習得能力の検討については既に十分な研究成果があり、学術誌や国内外の学会で成果を報告済みである。主観的運動強度の定量的評価については、ドイツ語質問紙の翻訳作業に手間取っているため、実験が完了していない。
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今後の研究の推進方策 |
主観的運動強度の定量的評価の実験を完遂し、その成果を学術誌や学会で発表することに注力する。また来年度が本研究課題の最終年度であるため、研究成果の総まとめとしてオランダで国際ワークショップを開く予定である。また、本研究課題を更に発展させて次期の科学研究費補助金申請につなげることを検討中である。
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