研究課題/領域番号 |
21330175
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
的場 正美 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (40142286)
|
研究分担者 |
柴田 好章 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 准教授 (70293272)
松下 晴彦 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (10199789)
杉本 憲子 茨城大学, 教育学部, 講師 (70344827)
|
キーワード | 授業分析 / 授業研究 / 解釈学 / 記述言語 / 思考様式 / 分析単位 / 発話 / 明示性 |
研究概要 |
【研究目的】本研究は、授業過程の相互作用を記述・解釈し、授業過程に介在する要因を抽出とその要因と諸理論の諸概念と照応し、(1)記述記号と思考形式の関係、(2)記述記号の可逆性、(3)動作の記述可能性、(4)分析単位の妥当性、(5)解釈の明示性、(6)抽象の程度という6点の妥当性を検証することによって、1)子どもの認知的レベル、2)相互作用的レベル、および3)教師の認識的レベルの諸要因相互の関連を明らかにすることを目的としている。【研究成果】平成23年度の重点的課題に照らしてその研究成果を述べると次のようである。1)新しい記号の開発とパラ言語の表記と非言語行動の記述(課題3,課題1):非言語行動を言語として記述した場合、記述された内容を中間項として開発された記号によって、再構成することによって、非言語行動を解釈した過程が明示される。2)分析単位の妥当性の検証(課題4、5):発言の分析単位を意味単位としてスラッス(/)で区分した場合、その分析単位は多くは概念の単位と一致する。さらに下位概念が見いだされる場合には、その分析単位は2あるいは3の分析単位に細分化される。3)記号による表示形式の解釈の明示性の検証(課題6):同一の発言でも2つの解釈がある場合には、その解釈の違いが記号による表示形式の違いに明示される。4)抽象化の程度(課題7):3段階に抽象化される。第3段階では発言に含まれる内容が捨象される場合が多い。5)認知心理学の諸概念との照応:この課題については成果が出されなかった. 【研究成果の公表】成果の一部は、日本教育方法学会、日本カリキュラム学会、The World Association of Lesson Studies International Conference 2011等で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の重点課題のなかで、1)新しい記号の開発とパラ言語の表記と非言語行動の記述、2)分析単位の妥当性の検証、3)記号による表示形式の解釈の明示性の検証、4)抽象化の程度、はおおむね成果あるは展望が見いだされが、さらなる課題として、抽象化の3段階の妥当性、パラ言語の表記の方法と言語学の成果との関係の追求が必要である。また課題の5の最終段階の照合が未着手の状態であるが、その照合のためには、実際の授業記録の場面分析から導かれる諸要因の関連構造の抽出が課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
課題1)発言の文字記録に表れる子どもの論理を解明するには接続助詞などの体系的分析と子どもの気持ちや意図などを解明するためにはパラ言語やモダリティ表現の体系的分析が必要である。一部試みたので、この視点を研究計画に加える。 課題2)活動理論や社会的構築主義の理論に示されている諸概念の関連構造については、一部しか解明されていないので、次年度にはより幅広い範囲の諸概念の関連構造の分析を試みる。
|