研究課題/領域番号 |
21330176
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺田 盛紀 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (80197805)
|
研究分担者 |
金井 篤子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (80262822)
清水 和秋 関西大学, 大学院・心理学研究科, 教授 (40140248)
西野 節男 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (10172678)
西野 真由美 国立教育政策研究科, 基礎研究部, 研究員 (40218178)
李 正連 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (60447810)
|
キーワード | 職業観 / キャリア教育 / 高校生 / 比較研究 / 教育文化 / アンケート調査 |
研究概要 |
21年度は、3か年の研究計画の内、日、米、独、中、韓、インドネシアの6か国、計14の高校において、各国高校生の職業観形成における教育文化的背景の共通性と差異を確認するために、職業観形成に係わる教育活動のヒヤリングと、各校100名ずつの1年生に対するアンケート調査を実施した。 一定の記録ができているヒヤリング調査結果に関してのみいうと、いずれの国も、普通高校と職業高校における職業観育成の考え方・実践が大きく異なる事があげられる。しかし、前者に関して、後続の大学入学試験に生徒指導を焦点化し、職業への方向付けを高等教育以降にモラトリアムするアジアパターンと大学への進学を職業・キャリアと関連づけ、高校の教育指導の中にそれらの要素を位置づける米独パターンの2つの相違が確認された。 また、後者の就職指導に関しては、日本の場合、職業教育課程における現場経験がカリキュラム化されていないにもかかわらず、就職指導が突出して「学校内化」していることも解明された。 さらに、韓国と中国では、ますます職業高校からの高等教育進学(専門大学・職業大学への進学)が顕著となり、職業高校における進学指導が重視されてきている。 22年度に繰り越した「ワークショップの実施」、アンケート調査の分析を主内容とする「研究成果のとりまとめ」から、興味ある事実が浮かび上がってきた。 まず、日本の高校生、ついでドイツの高校生が、中国、インドネシア、韓国などの高校生に比して、「経済志向」「社会志向」「自己実現志向」「リーダー志向」「ミッション試行」など、どの尺度においても、有意に職業意識が低いこと、しかし、同じ先進国でもアメリカはそうではないこと、さらに、「経済志向」「リーダー志向」で職業・技術系の生徒の意識が高く、逆に「自己実現志向」「社会志向」で普通科生が相対的に高いことが明らかになった。後者に関して、どの国においても普通科生と工業科生が弱い点がそれぞれ今日的な職業教育とキャリア教育の課題として浮かびあがった。
|