研究課題/領域番号 |
21330181
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
市川 須美子 獨協大学, 法学部, 教授 (30117692)
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研究分担者 |
高橋 哲 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10511884)
中川 律 宮崎大学, 教育文化学部, 講師 (60536928)
中嶋 哲彦 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (40221444)
成嶋 隆 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (90115056)
世取山 洋介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90262419)
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キーワード | 教育行政基本条例 / 府立学校条例 / 職員基本条例 / 教育振興基本計画 / 「日の丸・君が代」訴訟 / 「不当な支配」 |
研究概要 |
研究期間3年目であり最終年度にあたる本年度は、「新」教育基本法の立憲主義的解釈の解明に関わる立法・司法上の新たな二つの課題について分析・検討した。 第一に、大阪府における教育関係諸条例(教育行政基本条例、府立学校条例、職員基本条例)に関する資料の収集、分析、検討である。本研究は、「新」教育基本法法制の特徴を、行政学領域における「新しい統治理論」または経済学領域における「主人-代理人」理論に基づいて教育行政組織、行政組織-学校組織間関係、学校管理職-教職員関係を再編しようとするものとの仮説を立てているが、大阪府の諸条例は、国の法制度改革に先立ってこのような教育行政・学校組織の再編を推進する立法であると言える。その最大の特徴は、首長・議会に教育を実質的に統治(「不当な支配」)する権限を与えかねないことにあり、またその手段として、「新」教育基本法に作成主体が明記されていない地方版教育振興基本計画が使われようとしている点にある。 第二に、「日の丸・君が代」訴訟に関する一連の最高裁判決(2011年5月30日-2012年1月16日)の資料の収集、分析、検討である。本研究は、「新」教育基本法の立法者意思とこれまでの日本国憲法・教育関連法の解釈を示す判例には緊張関係があるとの仮説を立てている。したがって、「新」教育基本法の立憲主義的解釈という課題にあたり、最高裁判決の新たな憲法・教育関連法解釈の分析は必須となる。分析の結果から言える特徴は、最高裁は教師の思想・良心の自由に関してある程度踏み込んだ判断を示したのに対し、教師の教育の自由に関してはほとんど判断をしていないということである。上記の大阪府の現象と合わせてみたとき、教育における「不当な支配」の現状分析とその原理な考察が、「新」教育基本法を立憲主義的に解釈するにあたって避けられない課題になっていることが分かる。
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