研究概要 |
西日本調査として京都市教育委員会を,東日本調査として横浜市教育委員会,南アルプス市教育委員会,及び北杜市教育委員会を訪問調査における学校への予算配当のしくみについて訪問調査を実施し,このうち京都市教育委員会と横浜市教育委員会の事例を対照的に検討した結果では,京都市の場合は学校長への支出命令書作成の権限と,教育委員会を経由せず首長部局の財務会計システムと学校とを直接結ぶシステムの構築がみられることを明らかにした。各地で学校の財務上の自律性・自主性の確立の必要性を指摘されながらもこれがなかなか進まない現状において,財務会計上の権限と責任の付与の側面に焦点をあてた分析が行われていない現状を指摘した。なおこの成果を日本教育行政学会において口頭報告を行なった。また南アルプス市と北杜市の訪問調査の成果は,学校からの予算要望が自治体全体の予算編成における教育予算算定の過程で極めて重要な位置づけとなっていることを明らかにし,平成23年度の日本教育経営学会で報告する予定である。 また,10校の公立学校事務職員から支出額データの提供を受け,学校運営経費の分類作業と分析をすすめた。その際に,これまでの研究ではあまり試みられなかったような学校運営経費の分類基準を発案・提示した。大分類として教授活動,サポート活動,教育外サービスの3分類とし,されにそれぞれの大分類を中分類・小分類とした。提供を受けたデータの一次的な分類作業によれば,人件費を除く学校の公費配当予算の範囲では,サポート活動が学校運営経費の8割程度を占めていることがわかった。
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