研究課題
本研究の目的は、「グローバル化や市場化が急速に進む中、グローバル・アクターが、各国の高等教育のあり方のみならず、従来は国民教育の基本であることを念頭に考えられてきた義務教育の内容に影響を与えるファクターとなっており、その結果、国家の主権に多大な影響を及ぼすことになる新たなるグローバル・ガバナンスが出現し、従来のガバナンスの影響の実相が変化している」という仮説を、PISAを事例として検証し、さらに「グローバル・ガバナンスの影響で義務教育の内容や仕組みがどのように実体的に変容することになるのか」を解明することにある。最終年度である平成23年度は、当初の計画通り、これまで実施してきた各国調査で得られた資料・データ等の分析を行い、その成果を学会・論文等を通じて発表した。成果発表を通じて得たフィードバックをもとに精査した各国の分析を持ちより、共通の分析枠組にあてはめて比較検討することにより、本研究の主たる目的であったグローバル・ガバナンスの理論モデルの構築を試みた。その結果、1)OECDは、各国・地域に存在するニーズを吸い上げそれに適した「指標」(規範)作成・提示したPISAが、2)各国・地域の中央教育行政関係者のみならず、教育に関する多様な周辺団体らによって活用・利用され、教育政策・世論を形作っていった結果、3)相乗効果的にPISAをベンチマークとする動きが「外圧的」「内圧的」に高まり、多様な形でその影響が生まれ、4)結果として「緩やかな」統治プロセスを生んだ、という結論に至った。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (10件)
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