研究課題
最終年度は、諸外国調査の中国・台湾・欧州を補充し、金融経済倫理状況調査をまとめ、内容開発をした。外国調査では、中国の経済教育と金融教育の急速な変貌、台湾の米国型金融教育カリキュラム、イギリス・ドイツ・北欧の変貌を報告した。中国では、社会主義市場経済の下に小中高校を通した社会科経済カリキュラムが、個人金融や市場経済を中心としたものに変容した(「歴史と社会」)が、一方で、「思想品徳」には、公正や正義などの倫理的側面の扱いによってバランスをとっている。台湾では、リベラルな教育改革による学習指導要領刷新の一方で、金融経済教育カリキュラムでは、ネオリベラルな米国型経済カリキュラムが導入されている。その展開は、ワークショップ型のゲームやシミュレーションによるものである。ドイツでは、作成された「経済教育スタンダード」(DCOB)は、持続可能性や価値の扱い、正義や格差是正などを含めたスタンダード改訂が提起され金融経済教育カリキュラムへの反映を試みている。金融倫理調査では、昨年、データ処理・分析を再調整すると共に、記述部分での国際比較を行った。結果は、米国と日本で差異がみられた。特に金融倫理に関する記述分析では、米国に比し日本での解答が低く、類型化に不十分であった。結果は、国際公民社会経済教育学会(英国バース)で米国研究者と共に発表した。内容開発では、理解・概念・意思決定・理念の4類型内容開発を行い、それぞれの内容事例を示した。
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経済教育
巻: 31(印刷中)
弘前大学教育学部研究紀要クロスロード
巻: 16 ページ: 1-10
巻: 16 ページ: 11-21