研究課題/領域番号 |
21330200
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
丹沢 哲郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (60272142)
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研究分担者 |
三浦 和尚 愛媛大学, 教育学部, 教授 (40239174)
加藤 寿朗 島根大学, 教育学部, 教授 (30274301)
國宗 進 静岡大学, 教育学部, 教授 (50214979)
梅津 正美 鳴門教育大学, 学校教育研究科, 教授 (60284329)
岡部 美香 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (80294776)
高旗 浩志 岡山大学, 教師教育開発センター, 准教授 (20284135)
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キーワード | 教科教育 / 教師教育 / 地域連携 |
研究概要 |
地方自治体によって実施されている教科指導に関する現職教育プログラムを、これらの組織と連携して開発・実践するため、以下の3県に複数のモデル地域を設けてその効果を実証してきた。 ①静岡県小笠地区(理科)では、各市の教育委員会・校長会・教育研究協議会の承認を得て、この地区における正式な研修機会として本研修を位置づけた。したがって、研修会は平日の勤務時間内に実施し、出張手続き等に関する事柄は大学側が行った(平成22年度~23年度)。23年度はその完成年度と位置づけ、あわせてプログラムの評価を行い、授業構想に関して参加者に著しい効果が見られた。 ②静岡県焼津市(数学)では教育委員会の承認を得て、これも平日の勤務時間内に研修を実施した。ここでの研修実施には教育委員会の担当者が直接関与し、出張関係の手続きは教育委員会がすべて行った。このモデルの欠点は、担当事務官の移動に伴う研修の継続性にあったが、平成23年度は委員会内での事務引き継ぎが順調に行われ、継続して研修を実施できた。 ③島根県出雲市(社会科)では、当初から地域で実施されていた研修会を、本科研研究メンバーが担う形を採用した。準備の関係から上記2地区より1年遅れて始められた研修会であるが、平成23年度は、長期研修会や定例研修会の機会を捉えて、本科研研究メンバーが指導を行ってきた。 また、日本におけるこういった「草の根的」な研修の実施に対して示唆を得るため、アメリカ・コロラド州における理科教師教育プログラムについて情報を収集してきた。そこでは、NSFより6年間にわたる財政支援を得て、コロラドカレッジを中心とした地域単位の研修支援が行われており、理科授業指導力の著しい向上と、地域の核となる教員育成の成功が見られた。現在アメリカは、国家を挙げて理数系教育の充実を支援しており、その中心に教師教育が位置づけられていることが理解された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各地区に異なる教科研修実施モデルを設け、ほぼ予定通り研修会を実施してきた(出雲市のみ実施開始が1年遅れた)。またこれらの研修会が地域に根付きつつあり、小笠地区では平成24年度より公的な研修会の手を離れて、教員たち自らによる自主的研修組織へと移行する予定である。また焼津市では、残り1年間、研修を公的な研修として位置づけ、25年度より自主的研修組織に移行予定であり、研修会を地域の手に委ねる準備が整えられつつある。 その際重要なのは、これらの研修の成果がどのように現れているかであるが、小笠地区では平成22年度・23年度と評価データの収集と分析を終えている。その成果は研修会参加者により現れ方に差が見られたが、全体として成果は顕著であり、こういった中堅教員に対する研修の重要性が確認された。また焼津市でも平成23年度に評価を実施し、その成果が蓄積されつつある。焼津市では平成24年度に、出雲市では実施開始年度が遅れたこともあり、平成25年度に評価を実施予定である。 上記のように、研修会の実施ならびにその成果の評価は、ほぼ予定通り進行しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の課題は、小笠地区では自主的研修組織立ち上げと実施、ならびに実施形態を変えたことによる新たな評価方法の確立とその実施である。自主的組織にするためには、勤務時間後に研修が実施できる場(学校)の選定と、新たな研修プログラムの開発が必要となる。現在のところ、この自主的研修組織は①参加自由、②自身の開発した授業案の持ち寄りと参加者による検討、の2つを原則とし実施予定で、評価方法としては、過去2年間の研修成果(過去の参加者の学習事項)が、新たな参加者にいかに伝達されていくかを追跡調査することを考えている。 一方焼津市での研修の課題は、24年度の自主的研修組織への移行をいかにスムーズに図っていくかにある。それと同時に、23年度研修成果を踏まえ、24年度も評価方法の改善とその実施を継続する。 最後に出雲市であるが、この地区は開始時期が遅れたこともあり、23年度の実践を踏まえての研修プログラムの改善が課題となっている。それと同時に、24年度ははじめての評価の実施を計画している。
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