本年度は、まず組織作りに取り組んだ。初期の計画通り(1)「我が国の戦前・戦後の道徳教育」(2)「アメリカの道徳教育」(3)「韓国の道徳教育」(4)「教師の養成・研修」のプロジェクトチームを作って、全体を総括する「研究プロジェクト総合推進委員会」のもとで研究を総合的に進めていこうとした。そのなかで、中国の道徳教育について押さえることが大切だと意見が出され、幸い北京師範大学教授壇伝宝氏(北京師範大学公民・道徳教育研究所所長)が鳴門教育大学に客員教授としてこられていたのを期に、交流を深め、本研究の連携研究者、研究協力者全員が参加して、北京市の学校における道徳教育の視察・調査及び研究者との研究会、シンポジウムを行った。その結果をまとめることを通して、我が国の道徳教育との比較、及びアメリカ、韓国の道徳教育との共通点と相違点を具体に即して明らかにし、これからの研究につなげていけるようにした。 また、研究協力者として、中国研究の専門家である山田美香名古屋市立大学教授、日本の道徳教育の歴史に関する専門家である藤田祐介熊本商科大学准教授に加わってもらい、研究体制を整えた。 (1)の「我が国の戦前・戦後の道徳教育」研究については、貝塚と押谷が中心となって文献収集に取り組んだ。戦前の道徳教育関係図書はもちろんのこと、教育雑誌や一般雑誌についても内容的な検討を行った。また、伴は、院生の協力を得て、戦前に修身教育を受けた人々にインタビューを行い、冊子にまとめ、2年目以降の研究における基盤をつくることができた。
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