研究課題/領域番号 |
21330205
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
押谷 由夫 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50123774)
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キーワード | 道徳教育 / 修身教育 / 学校・家庭・地域連携 / 中国・韓国・アメリカの道徳教育 / 道徳教育カリキュラム |
研究概要 |
本年度は研究の3年目ということであり、一層の研究及び発表に取り組んだ。 まず、修身教育に関する調査研究であるが、修身教育及び戦前の教育の実態について、手記や記録、文献、インタビュー等をもとに研究会を設けて検討を加えていった。当時の国民は、今から振り返ると、戦争体験による苦悩、軍国主義教育の厳しさの印象を強くもっているが、同時に人間としての生き方にかかわる部分で、当時の教育が今に生きていることを述べている。それらの実態を、さらに深く研究していきたい。 また、本年度は、一昨年の中国調査及び研究交流、昨年の韓国調査及び研究交流に続いて、アメリカの調査及び研究交流を行った。特にアメリカの道徳教育において大きな成果を上げているキャラクター・エデュケーションについて、特に熱心に取り組まれているニュージャージー州を訪問し、州のキャラクター・エデュケーションを中心となって推進しているBrown教授と交流し、熱心にキャラクター・エデュケーションに取り組んでいる学校を紹介いただき訪問するとともに、研究交流を行った。その結果、校長のリーダーシップのもとに全校で道徳的価値意識を育てる教育を、環境、授業、日常生活、家庭との連携で取り組むことで大きな成果を上げていることを確認できた。それらは我が国においても取り組まれていることが多く、さらに一人一人を大切にした全校での取り組みの推進、情報機器の活用、教師間の協力等において取り入れられるものが多くあることを実感した。 さらに、本年度は南京で行われた国際道徳教育学会に参加し発表を行った。内容は、日本、中国、韓国の子どもたちの価値意識と道徳教育の取り組みについての考察であるが、参加者から貴重な意見を聞くことができた。また学会を利用して南京師範大学及び南京大学の研究者と研究交流会を計画し発表及び研究協議を行った。今後の研究の推進及びまとめに大きな示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
わが国の戦前の道徳教育の再検討を行うことによって今日的道徳教育の在り方を、学校・家庭・地域連携型の道徳教育プログラムの開発に取り組もうとしたが、そこに中国、韓国、アメリカの現在の道徳教育の推進状況や実態研究を計画的に絡ませていったために、当初の目的をより深く追究することができている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は最終年度になり、まとめを行うことになる。その際、国際調査研究を計画的に積み重ねていったことのよさを前面に出せるようにしたい。そのために、24年度も中国で研究会をもち、意見交換を深めて国際的視点を取り入れながら研究成果をまとめていく予定である。また、戦前の修身教育と戦後の道徳教育に関する分析もさらに深めていく。そして、まとめに関する会合を定期的に開き意見交換を深めていく。
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