平成22年度の研究では、日本語歌唱の指導手段と表現素材としてのオノマトペの可能性を具体的に示した。その研究過程で、「ツー」「ドン」「タン」といった言語音から発展的に表現できる、非言語音によって直接的に模倣される音(「非言語音による直接的模倣音」)を使った音楽表現の豊かさを中心に研究を展開した。中でも、今年度はヒューマンビートボックスの指導におけるオノマトペの使用と、その表現力の可能性の研究を進めた。 その結果、(1)オノマトペは「ヒューマンビートボックス(HBB)」という表現形態へと発展が可能であること(2)HBBは、複数の楽器に相当する音を一人で演奏できるため、既存の楽器に劣ることがないくらいの多彩な音を一人で演奏することができること(3)オノマトペの組み合わせは、自分で音を作り出していく楽しみと、それを演奏に繋げる楽しみを併せ持っており、それを身体だけでできるという軽快さがあること(4)オノマトペを使った演奏形態は、厳格な決まり事が少なく、HBBに発展させることにより、自分で出せる音を開発し、その音で音楽を表現するという楽しみへと展開が可能であること、という以上四点を導くことが出来た。 このような、表現力の可能性は、新たな音楽表現の教育方法及び、音楽表現の素材としての可能性を秘めており、今後、様々な教育方法や音楽表現の新たなスタイルとしての研究の拡大が期待できる。 (以上の研究成果は、社団法人日本ヒューマンビートボックス協会の協力を得て行った。)
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