研究概要 |
シンプレクティック特異点Xが正荷重つきC^*_作用を持つと仮定する。さらにシンプレクティック形式も正荷重を持つものとする。複素単純リー環のべき零軌道閉包、Slodowy切片、Hamilton-作用を持った複素シンプレクティック多様体のシンプレクティック簡約などがこのような特異点の例である。平成23年度は、つぎの3つのトピックについて研究した。 (i)シンプレクティック超曲面の構成 (ii)シンプレクティック特異点の同値性 (iii)完全交差型シンプレクティック特異点の構造 (i)は、Lehn,van Straten(独、マインツ大),Sorger(仏、ナント大)との共同研究である。この研究では、シンプレクティック超曲面の幾つかの異なった構成を与えた.具体的には、Slodowy切片としての構成、sl(2)-表現を用いた構成、unitrivalent graphから決まるシンプレクテイック簡約による構成などである。(ii)では、ダルブーの定理の一般化をシンプレクティック特異点に対して考えた.(iii)では、アファイン空間の中で斉次多項式の完全交差として得られるシンプレティック特異点の構造定理を証明した.主結果は、このような特異点は、複素半単純リー環のリチャードソンべき零軌道になるというものである。証明には、接触幾何と森理論を用いる。実は、このような特異点は、複素半単純リー環のべき零多様体に他ならないと予想しており、現在研究中である。
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