研究概要 |
アファインシンプレクティック多様体が、正荷重をもつ1次元代数トーラスの作用をもつときConical シンプレクティック多様体とよぶ。複素リー環のべき零軌道, Quiver多様体, べき零軌道にたいするSlodowy切片など幾何学的表現論に登場する多様体はすべてconical シンプレクティック多様体である。 本年度は、conical シンプレクティック多様体のうち、アファイン空間の中で斉次多項式の完全交差として定義されるものは、アファイン空間と標準的なシンプレクティック形式の組、あるいは、複素半単純リー環のべき零多様体と Kostant-Kirillov 形式の組のどちらかに同型であることを証明した。証明には、ポアソン変形の理論と、接触射影多様体の構造定理を用いる。 そのほか、平成23年度までにおこなったポアソン変形の理論の応用として、複素半単純リー環のSlodowy切片がいつ、その中心ファイバーの普遍ポアソン変形を与えるかを完全に分類した。これは、Lehn, Sorger との共同研究である。またこの研究で現れたsymplectic hypersurfaceをさらに追究し、研究代表者, Lehn, Sorger, van Straten の4人で共著論文を作成した。以上のべた成果を、数学専門雑誌に投稿するとともに、フランス Luminy の CIRS, Grenoble の Fourier Institute, ドイツ Oberwolfach 数学研究所、アメリカ Simons Center 等で開かれた研究集会で講演発表した。
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