研究概要 |
マルグリス超剛性定理の幾何学的証明という問題を念頭において、PGL(3,Q_p)(pは素数)に付随する2次元ユークリッド的ビルディングの頂点における接錐の不変量δ(以前に井関氏との共同研究において導入したもの)の厳密値を決定することを目標とし、p=2の場合を詳しく考察した。この不変量は、接錐上の有限台確率測度に対して定義される不変量の、測度全体にわたっての上限として定義される。p=2の場合、問題は、与えられた測度に応じて、PGL(3,F_2)に付随する1次元球面的ビルデイング(一般化された三角形ともよばれる)の14次元ユークリッド空間への局所等長的な埋め込みを適切に構成する問題として定式化される。頂点集合上に台にもつ重み一定の測度の場合には、そのような埋め込みで最良のものを井関式との共同研究において構成したが、これは7次元ユークリッド空間への埋め込みとなっている。我々の問題は、この埋め込みをずっと退化した3次元ユークリッド空間へのある埋め込みまで適切に変形する問題に帰着されると考えており、その方向で研究を進めている。この研究は、豊田哲氏(名古屋大学)との共同研究である。 昨年度から、ランダム群の固定点性質に関する研究を取りまとめる作業を行ってきたが、これを終えて論文を専門誌に投稿した。この研究は、井関裕靖氏(東北大学)、近藤剛史氏(神戸大学)との共同研究である。 四元数CR幾何を四元数多様体の実超曲面を含むクラスに拡張し、滴当な凸性の仮定の下で田中-ウェブスター接続の四元数的類似が定式化できるかという問題について研究を進めた。
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