研究概要 |
3次元空間型の波面(フロンタル・フロント)の内的定式化として連接接束・フロンタル束・フロント束の概念を導入し,この立場で波面とその単位法線ベクトル場の関係に対応するフロント束の双対性とその応用を研究した.とくにコンパクトな波面の場合,2つのタイプのガウス・ボンネ公式が成立する(佐治・梅原・研究代表者)が,さらに双対なフロント束にたいしても2つ,合計4つ独立なのガウス・ボンネの公式が成立することになる,これらを組み合わせることにより,さまざまな曲面や波面の位相に関する公式-たとえばBleeker-Wilsonの公式-を得ることができた.一方,連接接束の条件をさらに弱くしても2つのガウス・ボンネの公式が成立することに気づき,その応用として,3次元アファイン空間の曲面に対する等積Blasehke法線の特異点に関するBleeker-Wilson型公式を得た. また(一般に3次元以上の)共形平坦リーマン多様体をミンコフスキー空間の光円錐の超曲面とみなし,その波面としての双対を考えることにより,もとの共形平坦リーマン計量と異なる共形平坦リーマン計量(双対共形平坦計量)が存在することを示した.この計量は一般に特異点をもつが,フロント束の概念を用いて内的に定式化することができる. 非コンパクトな波面の大域的な幾何学を研究するには,リーマン多様体の完備性の概念を特異点を持つ場合に拡張する必要がある.研究代表者たちが「完備」と呼んでいる性質は(退化をゆるす)リーマン計量に関して常に定義されるが,一方,さまざまなクラスの曲面に対して別の意味の完備性(弱完備性とよんでいる)を導入してきた.これらの関係を考察した.
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