研究概要 |
研究目的「完備かつ可分な距離空間上の非可逆-可測変換に対し,"(bi)nonsingular measure"のクラスにおいて、特に不変測度の場合は従来の変換の測度論的エントロピーに帰着する、複雑系の広い範囲に適用可能なエントロピーを定式化し、そのLegendre変換の一般化として自然に現れるPressureに相当する量を定式化する」に対しては、コンパクト距離空間上の必ずしも定義域が一致していない同相写像の族から派生する一般化された関数系(Iterated Functional System)を定式化し、以下の結果を得た。 (1)関数族を構成する可算個の同相写像の合成の値域集合が、自然な自己相似性を保持する極限集合として確定する為の条件を明らかにした。 (2)非可逆離散写像におけるPressureの一般化には、問題としているポテンシャル関数をヤコビアンに持つ(bi)nonsingular measureの存在が重要な役割を果たす事が知られているが、ここでは関数族がMarkov性が崩れた可算成分割を保持する非可逆離散写像から派生するlocal inverse(局所逆写像)である場合、Sofic条件を仮定する事により、Markov cylinder上への誘導変換から自然に引き起こされる誘導ポテンシャルに関するPerron-Frobenius operatorのdualの問題に帰着させ、Markov性を持つ誘導変換に関するconformal measureを利用して不動点を構成した。但し、問題としているポテンシャル関数は、連続性のみならず、関数族を構成する同相写像の定義域の境界上では消滅するという条件が必要となっている。 (3)(2)におけるconformal measureの構成方法を、必ずしも非可逆離散写像から派生していない一般の関数系に対し適用し、一般化されたPerron-Frobenius operatorの固有値とポテンシャル関数から決まる(topological) pressureに相当する量との関連性を考察した。 以上の結果(1)-(3)は、平成24年3月2日~11日に招聘したManfred Denker氏との共同論文の中で発表予定である。
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