研究概要 |
本研究は,閉曲面上に埋め込まれたグラフの観察や操作を可能にするコンピュータ上のデータベースシステムを開発し,それを活用することで,グラフの再埋蔵理論と関連させて定式化することのできる位相幾何学的グラフ理論におけるいくつかの未解決問題の解決を図ることを目的としている.本年度は,与えられたグラフの閉曲面への三角形埋め込みを生成するプログラムを作成し,各辺上に高々1個の交差を許すことで平面に埋め込むことのできるグラフが種数4の向き付け不可能な閉曲面に三角形分割とし埋め込むことができないことを証明した.また,グラフの識別数と再埋蔵の理論とリンクすることで,射影平面上の三角形分割の識別数の上界を与えるとともに,3-連結平面的グラフの識別数が,2個の例外を除き,5以下であることを証明した.さらに,グラフが平面上の格子上に頂点を持ち,どの辺も格子点を通らないような描画を持つこととそれが4-彩色可能であることが同値になることを証明し,新たな観点から四色問題を解決できる可能性を見出した.その研究を支援するために,これまでグラフ理論支援ツールとして開発されていたgm standard 2を格子点描画に対応できるように改良した.また,iPad上で閉曲面上のグラフの作成・編集を可能にするアプリケーションgm standard for iPadを開発した.
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