研究課題/領域番号 |
21340033
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80296748)
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研究分担者 |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
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キーワード | フェイズフィールド法 / Allen-Cahn方程式 / Cahn-Hilliard方程式 / 平均曲率 / 極小曲面 / 相分離 / 幾何学的測度論 / 変分法 |
研究概要 |
フェイズフィールド法では異なる相の分離状況を表す為に、相の指標関数として領域上に定義された連続関数を導入する.相分離面はεの幅の広がりをもった領域として現されるため厳密な意味での界面ではないが、相分離面のトポロジーの変化などに柔軟に対応できる為、近年特に材料科学における数値解析にはなくてはならないものとなっている.この枠組みにおいて界面面積を表すと考えられているのがGinzburg-Landauエネルギー(数学の分野ではModica-Mortolaエネルギーとも呼ばれている)であり、特にミクロ相分離現象を描写するモデルにおいては界面エネルギーが多大な役割を果たすために重要なエネルギーである.このエネルギーがεの0極限において厳密に界面エネルギーを表す事を様々な条件下で当該研究者は過去の研究で示してきたが、それらの拡張、改良として今年度得られた結果は以下である. 1.関数uがModica-Mortolaエネルギーの安定的な停留点であるとする.これはつまり、uはエネルギーに付随するオイラー・ラグランジュ方程式を満たし、また第2変分が非負であるとする.このとき、εが十分小さければ、uが表す相分離面は、領域の次元が7以下の場合、常に実解析的で安定的な極小曲面にハウスドルフ距離の意味で近い.これは近年のWickramasekeraによる安定的な極小曲面の正則性理論を用いたもので、彼との共著論文として現在準備中である. 2.関数uが移流効果のついたAllen-Cahn方程式の解であるとき、移流項があるソボレフノルムで有界であれば、εの0極限においてuの2相分離界面は移流項付きの平均曲率流になっていることを示した.ソボレフ関数クラスの移流項を持つ平均曲率流の構成は従来の方法では極めて困難であったが、フェイズフィールド法を用いる事ではじめて可能になったものである.論文は現在査読中である.
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