研究課題
1. 幾何学的測度論の枠組みで考える平均曲率流としてBrakkeの平均曲率流があるが、昨年度の基本的な正則性理論(Kasaiとの共著論文)に関して大きな進展を得たことを受け、そのさらなる研究を進めた。具体的に得た結果としては、昨年度の結果はBrakkeの平均曲率流が古典解になることまでは示していなかったのであるが、その動く曲面の空間方向2回および時間方向1回の微分可能性を示し、古典的な意味で曲面速度が平均曲率に等しい事をほとんど至る所で示すことに成功した。これにより、Brakkeが1978年に主張した、Brakkeの平均曲率流はほとんど至る所で滑らかであるという事実が初めて証明された。2. Brakkeの平均曲率流は一般的に特異点集合を持ちつつ動く事が許される。例えば3重点は曲率流において極めて安定的な振る舞いをすることが様々なレベルで予想される。この点に着目し、特に3重点近傍におけるBrakkeの平均曲率流の正則性理論について研究を行い、ある弱い意味で平均曲率流が3重点に近い場合の正則性理論を構成した。3. フェイズフィールド法の枠組みで、超曲面の速度がその平均曲率と与えられた速度場で決まる時間発展問題について研究した。いわゆる移流項付きのAllen-Cahn方程式の特異摂動を考察する事により、極限で求める界面を得る方法で、弱い解の存在を示した。特徴として、与えられた流速場の正則性は次元的にシャープなクラスであり、従来の等高面法ではその存在が示せなかったものである。これは空間次元が2および3の場合はChun Liu、佐藤規文との共同研究で同様の結果を得ていたが、高棹との共同研究でこの次元の制約を取り払う事に成功した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Calculus of Variations and Partial Differential Equations, Online 掲載済
ページ: 68
doi:10.1007/s00526-013-0626-4
Interfaces and Free Boundaries
巻: 14 ページ: 185-203
doi:10.4171/IFB/279
Journal fur Reine und Angewandte Mathematik
巻: 668 ページ: 191-210
doi:10.1515/CRELLE.2011.134