研究課題/領域番号 |
21340035
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
國府 寛司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50202057)
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キーワード | 力学系 / 分岐 / 大域的構造 / 位相計算的方法 / 大自由度系 / 計算機援用解析 / カオス / グラフアルゴリズム |
研究概要 |
平成23年度はその前年度までの研究結果を踏まえて,新たな課題として,(A3)回帰的不変集合の構造の新しい解析法の開発,(B3)大域的分岐構造の検証法の整備,についての研究に重点をおいて研究を進めた. 課題(A3)は(A2)回帰的不変集合の内部構造の解析,を発展させるもので, (A1)力学系のMorse分解を用いた位相計算的方法の整備,で開発した相空間の大域的構造の位相計算を回帰的不変集合の一部に対して適用することで,具体的な結合力学系であるロジスティック写像の大域結合系に適用して,その回帰的不変集合に含まれるヘテロクリニックサイクルの存在を示すことができた.この方法は今後更に検討して,より広い範囲の力学系に適用できる形に整備して行く予定である. 課題(B3)では,様々な力学系の具体例に対する大域的構造や分岐を Conley-Morse グラフを計算機援用で求める位相計算的解析を行うことで,局所的,ないし大域的分岐現象に対しての位相計算的な検証を試みるとともに,その検証の理論的な方法の整備を進めた.特に,最も単純な局所分岐であるサドルノード分岐について,位相計算的視点からの分岐の特徴付けが得られた.また,より大域的な分岐である interior crisis と boundary crisis に注目し,interior crisis が見られる典型例である池田写像を位相計算的に解析して,これらの大域的分岐を Conley-Morse グラフによって捉えるための数学的枠組みを整理した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの研究結果を踏まえて,平成23年度の新たな課題として,(A4) ヘテロクリニック・ネットワーク構造の解析と検証,および (B4) 位相的分岐理論の基礎的研究の発展,についての研究にも着手し,順調に研究を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,最終年度として,これまで取り組んできた各課題の成果のとりまとめ,論文にまとめる作業に重点を置いて実施すると共に,その成果を発表して関連する研究者と研究打ち合わせを行う.
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