研究概要 |
最終年度である本年度の主な研究成果は以下の通りである。 (1) H.Nagoyaとの共同研究で、量子パンルヴェ方程式のラックス形式を定式化し、アフィンワイル群対称性のラックス作用素への作用を与えた。また、ラックス対の線形方程式と共形場理論の相関関数の満たす微分方程式との関係も明らかにした。この結果は論文"Symmetries of quantum Lax equations for the Painlev'e equations"として出版した。量子化は、本研究課題の主要成果であるラックス形式に新しい応用と展開をもたらすものと期待される。 (2)M.Noumi, S.Tsujimoto との共同研究で、E_8型楕円差分パンルヴェ方程式について、そのラックス対を自然に導くようなパデ補間問題を定式化した。これを用いて特殊解の行列式による明示公式、および、ラックス対、パンルヴェ方程式の簡潔な表示を与えた。この成果は"Pad'e interpolation for elliptic Painlev'e equation"として出版した。これは本研究の主結果(ラックス表示の構成)の重要な応用である。 (3) H.Awata, H.Fuji, H.Kanno, M.Manabeとの共著論文"Localization with a surface operator, Irregular conformal blocks and Open topological string"を出版した。これは、4次元のN=2超対称SU(2)ゲージ理論に関するAlday-Gaiotto-Tachikawa予想を、退化した場合も含めて確かめたものである。 (4) A.Kuniba, M.Okadoとの共同研究で、4面体方程式に関連する表現論を考察し、量子群の関数環と量子展開環の新しい関係を与えた。
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