研究課題/領域番号 |
21340039
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
砂田 利一 明治大学, 理工学部, 教授 (20022741)
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研究分担者 |
楯 辰哉 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (00317299)
樋口 雄介 昭和大学, 教養部, 講師 (20286842)
阿原 一志 明治大学, 理工学部, 准教授 (80247147)
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キーワード | 量子ウォーク / 結晶格子 / 離散解析幾何学 |
研究概要 |
離散幾何解析学は、大域解分学において培ってきたアイディアを基に、グラフ(有限、無限の双方を含む)上の作用素(隣接作用素、離散的ラプラシアン、ランダム・ウォークに対する推移作用素、磁場を持つ離散シュレディンガー作用素など)の解析を、グラフの幾何学的構造に結び付けて研究する分野である。本年度は、代表者が中心となって研究してきた離散幾何解析学をさらに発展させ、古典的なランダム・ウォークの量子版である量子ウォークの研究を行った。量子ウォークの研究は比較的新しい分野であり、これまでは限られた例についてのみ研究が行われてきたものである。本研究では、極めて一般的観点から量子ウォークの挙動を調べた。その成果として、結晶格子上の量子ウォークの推移確率に対する大偏差型の漸近挙動を求めた。また、量子ウォークの定式化をグラフのみの言葉で与え、量子ウォークが存在するための必要条件を見出した。量子ウォークには標準的な方法で古典ウォークが対応するが、それらの間の関係についても考察した。この研究では、過去に研究した結晶格子の「標準的実現」が大きな役割を果たしている。現在のところ、漸近挙動を確立するには、twistした推移作用素の固有値の「単純性」を必要としており、この制限を取り除くのが求められている。また、幾何学的結晶理論の基礎付けを通じて代表者が見出した対称性の大きい結晶構造であるK4格子の研究を引き続いて行った。
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