研究課題
彗星は、原始太陽系円盤内で麈(ダスト)が付着成長することによって形成された微惑星の生き残りであると考えられている。観測技術の飛躍的な進歩により、近年、世界各国で詳細な赤外線スペクトル観測によって、彗星から放出されたダストの熱放射が捉えられてきた。これら赤外線スペクトルデータを意義あるものにするためには、データに正しい解釈を与えなければならない。これにより赤外線スペクトルデータは彗星及び微惑星の形成・進化を理解する上で重要な役割を果たすことができる。本研究の具体的な目的は、彗星ダストの変成に着目し、サブミクロン粒子凝集体ダストモデルを用い赤外線スペクトルと彗星の進化との関係を明確化することである。本研究課題は4つのプロジェクト((1)光散乱のモデル化、(2)力学進化のモデル化、(3)衝突現象のモデル化、(4)熱放射のモデル化)として遂行される。平成21年度の研究では、サブミクロン粒子凝集体ダストの光散乱特性を決定することを目標とした(プロジェクト(1))。不規則形状及び不均質ダストの形状を双極子の集合体として表現し、離散双極子近似法(DDA)を用いて光散乱行列・断面積を計算した。さらに、DDAの制約条件についての検討も行った。これらの成果から、平成22年度に彗星ダストの力学進化(プロジェクト(2))を調べる上で必要な物理パラメータの準備が整った。また、凝集体ダストの構成粒子であるサブミクロン粒子同士の相互作用が偏光特性に及ぼす影響をT-matrix法で調べた。その結果、偏光観測データから凝集体ダストの空隙率についての情報が得られることがわかった。しかし、熱放射のモデル化(プロジェクト(4))の精度を上げるには、彗星麈に関連する物質の誘電率データについて新たなデータの獲得が必要である可能性が示唆された。衝突現象のモデル化(プロジェクト(3))に大いては、基礎データを集積しつつある。
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