次期の大型望遠鏡は単一鏡ではなくモザイク鏡(多くの6角形の鏡を密に配置して有効口径を30m程度以上とするもの)となる。モザイク大型望遠鏡による主要な観測の一つに、太陽系外惑星の直接撮像・分光がある。本研究では、太陽系外惑星をモザイク大型望遠鏡で直接観測するための装置を開発することを目的としている。恒星の極近傍の惑星までも観測できるように、掩蔽型ではなくナル干渉型(恒星からの光を打ち消しあう干渉状態にして消光し、暗い惑星を観測できるようにする)のステラコロナグラフを対象とする。 モザイク望遠鏡に特化したナル干渉型ステラコロナグラフとして、ラテラルシアリング(波面横ずらし)干渉装置に着目した。本研究では、デュアルフレネルロムによるナル干渉シアリング法を提案している。本年度の研究においては、近赤外域における本手法の性能をTMT(Thirty Meter Telescope)を用いた場合を想定して、計算機シミュレーションにより多角的に調べた。その結果、2光波干渉による消光の場合、Kバンドにおいて光軸上で7桁、5λ/Dの位置で10桁の消光が得られることがわかった。デュアルフレネルロム対を用いるシアリング・ナル干渉を2段にした4光波干渉の場合は、光軸上で14桁の消光が得られることがわかった。この性能は地球型惑星の直接検出を可能とするものと言える。 ステラコロナグラフにおいては、補償光学(AO)の導入が必須であり、連携研究者の三浦(北見工業大学)と一緒に京大飛騨天文台での補償光学太陽観測を通して、北見工大の補償光学装置の改善改良を行った(馬場は三浦が研究代表者である基盤研究(B)(一般)「太陽Multi-conjugate補償光学系の開発と効果の検証」の連携研究者となっている)。
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