研究課題/領域番号 |
21340042
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
花見 仁史 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (00212150)
|
研究分担者 |
中西 康一郎 国立天文台, ALMA推進室, 助教 (60399277)
秋山 正幸 東北大学, 理学研究科, 准教授 (50425401)
|
キーワード | 銀河形成 / 星形成史 / 塵 / 赤外線 / 巨大ブラックホール / 活動的銀河中心核 / 多環芳香族炭化水素 / 銀河進化 |
研究概要 |
0)赤外線観測衛星「あかり」、Spitzerにより、星間塵・ダストから放射された中間赤外線が検出された赤外線銀河を含む深宇宙の「赤い銀河」について、すばるなどの地上望遠鏡で得られたデータを融合して、可視・近赤外線測光SEDデータベースを構築する作業を継続した。1)このデータベースにカタログされた「赤い銀河」について、可視・近赤外線測光SED解析により、赤方変位、星質量、星形成率(可視)、ダストによる吸収(可視)などを導出した。ア)星形成率は星質量にほぼ比例する。イ)高い赤方変位ほど(時間を遡るほど)、星形成率は大きくなるが、吸収は小さくなる。ウ)以上の傾向は赤外線光度にあまりよらない。吸収の大きさは、ダスト量/重元素量を反映しているので、この結果は、時間経過とともに、星形成に伴って、星から放出される重元素が蓄積されていく銀河の化学進化をダストによる吸収(可視)として見たことを意味している。2)可視・近赤外線SED解析した「赤い銀河」のうち、「あかり」の中間赤外線バンドで検出された明るい赤外線銀河について、その中間赤外線SEDの特徴から、星形成領域と銀河中心核それぞれの赤外線光度の寄与の大きさにより、星形成銀河と活動的中心核銀河と星形成+活動的中心核銀河の3つの種族に分類した。3)星形成銀河の5um赤外線光度は星形成で説明できるが、活動的中心核銀河、星形成+活動的中心核銀河のそれは、急激な進化を示し、その起源は星形成ではなく、巨大ブラックホールが潜む活動的中心核であると考えられる。この描像に基づいて、活動的中心核銀河の5um光度から銀河中心核に潜む巨大ブラックホールへの質量膠着率とその成長率に制限を与えた。4)銀河中心核の寄与を除いた星形成に起因する赤外線光度から、星形成銀河のみならず星形成+活動的中心核銀河についても、星形成率(赤外)、ダストによる吸収(赤外)を導出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、データベースの整備と抽出した赤外線銀河の分類、星形成率の導出程度くらいまでが、今年度の目標であったが、活動的銀河中心核との共進化についても明らかにすることが可能となった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、本研究計画の最終年度になるので、データベースのとりまとめなどとともに、銀河進化の視点からのまとめを行う。
|