研究概要 |
1.可視多色撮像画像で検出した10万個の銀河の多波長データベースを更新し、これらについて、可視・近赤外測光スペクトル解析による赤方偏移、星質量、星形成率(可視)、ダストによる吸収(可視)などの信頼性の高い、以下の結果を得た。(1)星形成率は星質量にほぼ比例する。(2)過去に遡ると、星形成率は大きく、吸収は小さくなる。 2.これらの中で、赤外線観測衛星「あかり」で検出された1000個の赤方偏移z=0.4-2の明るい赤外線銀河を、ダストスペクトル解析によって、星形成銀河、活動的中心核銀河、星形成+活動的中心核銀河の3つの種族に分類し、以下の結果を得た。(1)活動的中心核銀河、星形成+活動的中心核銀河は、その巨大ブラックホールが潜むダストで覆われた中心核の活動を捉え、急激な進化を示す5um赤外線光度から、その質量膠着率とその成長率を換算した。(2)星形成+活動的中心核銀河についても、銀河中心核の寄与を除いた赤外線光度から星形成率を導出した。それらは、z<0.8では、明るい、やや暗い、暗い星形成銀河のいずれの星形成率と比較しても,抑制されていた。 3.星形成銀河について、可視・近赤外域と中間赤外域でのスペクトル解析のそれぞれから独立にダスト吸収を換算した。その進化は、星から放出される重元素が蓄積される銀河の化学進化として理解できた。しかし、(1)前者に対して後者は、定量的には、平均的に3倍程度大きい。(2)前者に対して後者が大きいほど、PAH光度に対する硅素ダストの吸収による減光効果が大きい。(3)この硅素ダストの吸収による減光効果と銀河全体の平均的PAH輝線表面光度との相関は顕著ではないので、吸収(可視)と吸収(赤外)の差は、銀河の星とダストの分布の非一様性=内部構造が反映していると示唆された。 以上の結果は、PASJ,2012,No 64, 70に出版、報告した。
|