研究概要 |
2010年7月に全天X線監視装置MAXIが国際宇宙ステーションに取り付けられ、8月から観測を開始した。平成21年度の研究計画に記した通り、ブラックホール候補天体等のアウトバーストを検出する「突発天体発見システム」を筑波宇宙センター内に設置し、大学院生らとともに実データに合わせたシステムの改良や突発天体発見のための閾値の最適化を行った。同システムにより、運用開始当初からリアルタイムの全天イメージを得ることができ、さらには同年11月に速報機能も追加し、自動検出を可能にした。これらの機能により、ブラックホール候補天体を含む、様々な天体の突発現象が発見された。 同システムにより検出された新しいブラックホール候補天体は、予想されていたものより少なく、2011年3月現在でXTE J1752-223のみであるが、ブラックホール候補天体H1743-433,4U1630-47,GX339-4のアウトバーストを世界に先駆け検出し、ATel(The Astronomer's Telegram)に共同研究者らとともに報告した。また、XTE J1752-223,H1743-322,Swift J1753.5-0127の状態遷移も同システムにより捉え、ATelに報告した。 これらの発見(速報)により、電波からX線まで様々波長域での追観測が世界中で行われた。 これらの発見等は、質量降着率の変化によるブラックホール降着円盤の物理状態の変化(状態遷移)を調べる上で貴重なデータを提供し、国内外の学会や研究会で初期成果の発表を行った。現在、データを詳細に解析するとともに論文にまとめる作業を行っている。
|