昨年度開発した8Gサンプル3ビットアナログ・デジタル変換器への入力部には適正レベルに調整する機能を持たせる必要があり、常温アンプそして帯域外信号除去のためのバンドパスフィルタ、伝送路での反射や共振を防ぐためのアイソレータ、入力信号パワー調整のための可変アッテネータなどを用いて、本年度は高精度観測モニター観測システムの開発を行った。現在搭載されているデジタル変換器のビット数が1ビットであることから、それを3ビットに拡張することにより、電波望遠鏡の検出感度を1.5倍に上昇することができる。さらに4GHz帯域幅を実現すれば、世界に類の無い広帯域高感度観測が可能となる。本研究では、バイナリブラックホールが中心部に存在すると思われている巨大楕円銀河を中心に、ミリ波サブミリ波での高精密モニター観測を実施し、バイナリブラックホールの検出を目指す。また、早期型銀河シルエットディスクのガスの物理状態やAGNの活動性との関係などを統計的に調べ、AGNに付随する分子ガス円盤/リングの特性について明らかにし、巨大銀河形成メカニズムを解明することまで辿り着けることを目指す。最終的に、ブラックホール・ディスク・ジェットといった銀河のエンジンとガソリン(エネルギー供給源)の関係を解き明かしたい。 計画通り、本年度は高精密モニター観測システムの構築に成功し、システム総合試験にて予定通りの性能が出ていることを確認した。また、現存する望遠鏡群を用いて巨大楕円銀河である3C 66Bを観測し、その中心に衝突直前のバイナリブラックホールが存在することを発見した。この成果は米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レター」に掲載され、報道発表も行った。
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