1.間隙が広い極冷中性子用エタロンの設計 これまでに動作実績のある冷中性子用のエタロンではなく、より波長の長い極冷中性子に合わせたエタロンを設計した。エタロンの対向する内面に形成する中性子反射膜をデザインし、計算によって性能を見積もった。中性子反射膜には金属の薄膜多層膜を用いることとし、中性子の入射角を考慮しながら、反射膜に用いる金属の種類や厚さ・層構造を最適化した。形成する薄膜多層膜の機械的な強度等も考え合わせた検討の結果、動作実績のある冷中性子用のエタロンと似た薄膜多層膜を形成し、入射角を調整することで極冷中性子に用いる方法が最善であると分かった。 2.アライメント装置の設計 現存する極冷中性子源を用いた干渉計の可干渉長について詳しく調べた結果、極冷中性子の干渉を明確に観測するためには干渉計を構成する各素子の位置を10nm程度の精度で制御する必要のあることが分かった。特に、極冷中性子干渉計の2つの経路の長さは、25nmの精度で一致させる必要がある。経路の長さを正確に一致させるために、白色光干渉法を用いる方法を考案した。白色光干渉の読み出しには、光の強度だけでなく、分光器を用いて透過光強度の波長依存性を見ることで、経路の長さを必要な精度で一致させることができる見通しである。また、この方法を実現するために、中性子と白色光を同時に取り扱うことのできるミラーを考案し、試作へ向けた設計を終えた。
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