研究課題
超高エネルギー宇宙ガンマ線観測用モバイルテレスコープアレイは、移設式解像型大気チェレンコフ望遠鏡を地上に多数配置し、観測目的に応じてアレイ配置を変化させる斬新な計画である。その実現に向けて、望遠鏡単体の試験用データ収集システムの開発を行っている。本R&Dの最終目標は、データ収集システムの消費電力を抑制して大容量蓄電池のみでの運用可能性を検討し、電力線から独立した移設可能な解像型大気チェレンコフ望遠鏡の製作技術を確立することである。本試験用データ収集システムは、アナログメモリーセル(AMC)とウィルキンソン型ADCを実装して製作した低消費電力ASICを基本要素とし、これを組み込んだ大気チェレンコフ光波形記録回路からなる。これに光ファイバー遅延回路を組み合わせることで一つのASICを8チャンネルで再利用する回路システムをデザインし、必要な波形記録精度を維持しつつ消費電力を極力抑えることに成功した。本システムは試験用であるため、解像型大気チェレンコフ望遠鏡としては少ない32画素(スーパーバイアルカリ光電子増倍管)で解像型カメラを構成するが、これを含めた32チャンネル分の装置の量産は前年度までに終了している。平成25年度は、前年度に完了しなかった本試験用システムの調整を行い、それを東京大学宇宙線研究所明野観測所に設置した試験用大気チェレンコフ望遠鏡に導入した。調整の過程で前年度に製作した装置の一部に不具合が見つかり、その修理等に時間を要したため、年度内に予定していた試験観測は翌年度に延期された。上記と平行して試験用望遠鏡の光学系、駆動制御システムの調整を行い、天体追尾を行える状態まで環境は整った。今後の試験観測で宇宙線由来の大気チェレンコフ光像を取得し解像型大気チェレンコフ望遠鏡としての性能を実証すると共に、低消費電力システムとしての性能を考察して論文にまとめる予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the 33rd International Cosmic Ray Conference (Rio de Janeiro)
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