研究課題
本研究では、次世代の放射光として期待されている強磁場・短周期アンジュレータの実現をめざし、バルク超伝導体を用い、新しい原理に基づいたアンジュレータの研究を実施した。本年度は、アンジュレータの両端部における磁場分布の乱れを、ビーム軸方向,直交方向のそれぞれについて、強磁性体片の挿入によりおよびバルク超伝導体の配置により補正する手法の開発を行った。前年までに開発したループ電流モデルを用いた数値計算により1、これらの手法が効果的にアンジュレータ両端部における磁場の乱れを補正できることを示唆した。また、物理特性測定装置(PPMS)を利用して、アンジュレータで使用する超伝導体と同じ母材から切り出した試験片における臨界電流密度の、温度・磁場依存性の計測を実施した。その結果、液体ネオンで冷却可能な30K以下の低温において、本アンジュレータが強力な周期磁場を生成可能であることを明らかにした2T超伝導ソレノイドおよび、連続流ヘリウムクライオスタットを用いた低温・強磁場環境下におけるアンジュレータ磁場生成試験を実施した。運転温度およそ6Kにおいて、周期10mm、磁極間隔4mmの条件下で、周期磁場強度0.85Tを達成することに成功した。この磁場強度は、既存のアンジュレータで到達可能な性能を上回っており、本方式が次世代の放射光で重要とされている「短周期・強磁場」生成のために必要なアンジュレータの候補となりうることを示した。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: (印刷中)
10.1109/TASC.2011.2180498
Proc.of FEL2011
巻: (WEB)(印刷中)
Physica C
巻: 471 ページ: 897-900