本研究ではフォイル中のウラン系列・トリウム系列のバックグラウンドを高感度で測定するためのBiPo検出器の開発をフランスと共同開発を行っている。昨年度はBiPo検出器の高感度化のため、不感時間の無い読み出しシステムを開発し、波形弁別を可能とした。 フランスでのBiPo検出器の政策に遅れが出たため、まず神岡地下実験施設のCANDLES実験装置を用い、実証試験を行った。CANDLES実験はBiPoと同様の低バックグラウンド環境であり、近くにあるためより頻繁にアクセスができ、より早く実証を行うことができた。また、実証としては同等の成果が得られた。 さらに、事象弁別効率を向上するために、事象弁別トリガーを開発し、テストセットアップを用い性能試験を行った。開発したトリガーシステムは、蛍光物質の蛍光時間を、不感時間なく選択できる新しい方法であり、これを用いることにより、高速に波形弁別を行うことができる。特に、少ない光電子数に対しても比較的高い感度を持つため、エネルギーの閾値を下げることがでる。これは、BiPoやCANDLES実験だけでなく他の高感度実験においても有効なシステムである。 今後は、CANDLESにおいて、これらを用いたシステムでデータを収集し、データ収集システムだけでなく全体を含め実際の測定における性能評価を行う。その成果をもとにBiPoの実際の測定を行う。
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