前年度に続き導波路のSPP伝播特性の研究を行った。これまで扱ったSPP導波路の中で最もSPPを有効に閉じ込められた構造は両側をプラズモニック結晶で挟んだ導波路であった。実験ではSPPバンド構造が単純な1次元プラズモニック結晶を用い、バンドギャップが最も開くように周期とテラス幅を決めた。周期600nmの1次元プラズモニック結晶ではΓ点(K_p=0)のギャップ、周期800nmではΚ点(K_p=G/2)のギャップを用いた。SPP導波路の幅を増やすと導波路モードエネルギーはバンドギャップの中で低エネルギー側にシフトするのが観測された。ビーム走査スペクトル像から導波路内のSPP定在波の波長が分かり、導波路の共鳴条件から導波路内では平面のSPPに近い分散関係をもつこと、幅の変化に対して対称モードと反対称モードが交互に現れることなどを明らかにした。 プラズモニック結晶によるSPP-光変換の性質を、円形の穴および柱が2次元六方格子配列した表面構造をもつ試料について調べた。SPP定在波モードのエネルギーは表面構造のパラメーター(柱や穴の直径)に依存して変化することを実験から示すことができた。 SPPによるルミネッセンス増強効果については、ZnO半導体のナノワイヤーに銀微粒子を付着させて発光スペクトルの変化を調べた。銀微粒子の共鳴エネルギーがZnOのルミネッセンスのエネルギーに一致する付近で増強が起こることを示した。さらに、銀微粒子の共鳴エネルギーがワイヤーによって低エネルギー側にシフトすること、接触部ではさらに別のエネルギー変化が起こることを明らかにした。
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