研究課題
Ge(111)表面上のBi、Pb吸着層について、構造お呼び電子状態を検討した。構造については、シンクロトロン表面X線回折、低速電子回折を用いた。電子状態については、角度分解光電子分光(ARPES)、スピン分解ARPES、第一原理電子状態計算によった。Ge(111)表面にPbを吸着させた表面では、半導体表面において初めてラシュバ・スピン分裂を示す金属的表面状態バンドを観測した。Pbの面内p軌道に由来するバンドが、フェルミ準位においてスピン分裂200 meV、有効質量0.028meを有することを見出した。フェルミ面は同心の六角形をなしている。また、Bi/Ge(111)表面において、半導体表面ではこれまで存在が知られていなかったショックレー型表面状態を発見した。この状態は表面内部数層に渡って波動関数が拡がっているが、表面特有のラシュバ効果によりスピン偏極していることを確認した。さらに、このバンドはそのままでは半導体的であるが、ホール・ドーピングにより金属化することができることを見出した。これらの発見により、半導体表面においてさまざまな非平衡スピン輸送現象を観測することが可能となる。半導体表面におけるスピントロニクス研究にとって節目となる重要な意義を有するものである。
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