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2009 年度 実績報告書

ブラッグ反射条件近傍に置いた結晶によるX線波束の異常シフトの観察とX線導波管応用

研究課題

研究課題/領域番号 21340086
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

香村 芳樹  独立行政法人理化学研究所, 石川X線干渉光学研究室, 専任研究員 (30270599)

研究分担者 田中 義人  独立行政法人理化学研究所, 物質系放射利用システム開発ユニット, ユニットリーダー (80260222)
キーワードX線動的回折理論の新しい描像 / 全反射を伴わないX線導波管 / 歪み結晶 / 分散面のギャップ / Berry位相項の観察 / 極低発散角の出射光 / 偏光依存性 / ダイヤモンド単結晶
研究概要

完全結晶を用いたBragg反射では、分散面にギャップが生じる。実空間で,結晶に歪みが存在し、結晶への入射角がBragg条件からDarwin幅程度外れているという二条件が満たされると、X線波束が結晶中を伝播する際、通常の群速度から大きく外れ、Berry位相の補正が必要となる[1]。X線波束は、結晶の法線ベクトル方向に流され、その変位量は、歪み量に比例し、分散面のギャップに反比例する[1]。この現象は、実空間と逆空間に跨ったパラメーター空間における疑似磁場による疑似ローレンツカによるビームの偏曲と解釈出来る。我々は、この理論の実験検証に成功した。
実験は、SPring-8、アンジュレータービームラインBL19LXUにて、15keVのX線を用いて行った。分光器下流の結晶光学系により、ビームのエネルギー分散、角度発散を低減した。100μmtの両面研磨されたシリコン単結晶試料を用いた。試料を固定した際の僅かな湾曲により結晶歪みを生じた。実験の結果、X線はBragg角18度程度で結晶に入射し、結晶中を約5mm伝播し、結晶(や結晶歪み)の縁に到達した。理論予言の通り、歪み量に比べ5桁程度大きい、マクロな導波管効果が結晶中で観察された。縁からX線は、再び入射光に平行に、14秒角以下の極低発散角で出射された。入射X線の偏光依存性も、理論予言と定性的に合う結果が得られた。
これらは、歪み結晶中の新しいX線の動力学的回折理論[1]から予言された新現象であり、全反射を伴わないX線導波効果である。極低発散角の出射光が得られる点が実用に適する。歪みダイヤモンド結晶を試料とした場合にも、同様の効果が確認され、予想通り高いスループットのX線導波管が実現された。研究成果は、新しいX線光学素子設計への道を拓くとともに、歪み結晶中のX線の動力学的回折理論に新しい描像を与えた。
[1]Sawada et al., PRL, 96, 154802(2006)

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 歪んだ結晶内のX線の動的回折理論と5mmの導波管現象2010

    • 著者名/発表者名
      香村芳樹
    • 学会等名
      第23回日本放射光学会
    • 発表場所
      イーグレひめじ(姫路市)
    • 年月日
      2010-01-08
  • [学会発表] 歪んだ結晶内のX線の動的回折理論と4mmの導波管現象2009

    • 著者名/発表者名
      香村芳樹
    • 学会等名
      日本物理学会2009年秋季大会
    • 発表場所
      熊本大学(熊本市)
    • 年月日
      2009-09-28

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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