研究課題/領域番号 |
21340091
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
HWANG HaroldY. 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任研究員 (30361611)
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研究分担者 |
疋田 育之 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (50466827)
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キーワード | 酸化物ヘテロ界面 / チタン酸ストロンチウム / パルスレーザ堆積法 / δドーピング / 高移動度二次元電子ガス / 二次元超伝導 |
研究概要 |
本研究では、遷移金属酸化物ヘテロ構造を用いてメゾスコピック系の物理を探求する舞台として(1)高移動度を示すSrTiO_3を用いたδドープ構造と、(2)絶縁体同士からなるLaAlO_3/SrTiO_3高移動度伝導性界面を対象とする。δドープ構造では、半導体中の電子散乱を抑えた清浄な格子中を走るd電子高移動度系の本質に迫る。(2)については、原子間力顕微鏡(AFM)の探針に電圧印加することで、界面伝導性をナノスケールで制御して極微小デバイス作製を試みる。AFM短針によるLaAlO_3/SrTiO_3界面の電気特性の変調が、表面に蓄積された電荷に起因することが明らかとなったことを利用し、極性分子吸着による表面電荷の蓄積を行った。その結果、吸着させる分子の単位体積当たりの分子双極子モーメントに比例して界面電子密度が変調されることが明らかとなった。この結果は、LaAlO_3/SrTiO_3界面を利用したセンサ応用や、ヘテロ構造の表面と固体界面がナノスケールで接近した際に生じる強い静電相互作用の存在を強く裏付ける結果である。δドープSrTiO_3構造では、二次元伝導層のキャリア密度を減少させることで、明瞭なシュブニコフ・ド・ハース振動を観測することに成功した。これを踏まえ、伝導層の厚さを系統的に変化させて三次元から二次元へと変化する際のSrTiO_3のフェルミ面形状を明らかにした。特に狭い領域に電子が閉じ込められた構造においては、伝導層内の電子エネルギー準位の量子化を観測することに成功した。
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