研究課題
1.価数搖動を示す化合物YbAlB4における量子臨界性のNMRによる検証:結晶構造の異なるアルファタイプ、ベータタイプの2種類のYbAlB4に対し、50ミリケルビンまでの極低温下におけるNMR測定を行った。ベータタイプは比熱や磁化がゼロ磁場で低温に向かって発散する量子臨界現象が観測されている。NMRの測定には磁場を印可する必要があるが、イジング異方性を持つYbAlB4においては磁場をc軸に垂直に印可することにより、量子臨界性を損なわずにNMR測定が可能であると期待される。しかし、このような条件下で得られたナイトシフト、核磁気緩和率と温度の積は、予想に反していずれも低温で一定値に近づくフェルミ液体的な振る舞いを示した。一方、アルファタイプについては、c軸方向の特定の磁場の値に対して、核磁気緩和率に顕著は量子臨界的な発散が観測された。2.異方的カゴメ格子スピン系ボルボサイトの単結晶試料に対するNMR測定:これまで我々は、ボルボサイトの粉末試料を用いて強磁場下の相図やスピン構造を調べてきたが、本年度は最近作成された良質の単結晶を用いたNMR測定を行った。その結果150K付近でこれまで知られていなかった構造相転移が存在すること、強磁場下で相IIと相IIIの間に新な磁気相が存在すること、などが明らかになった。3.ブリージング・パイロクロア構造を持つクロム酸化物:フラストレーションの強い格子系として知られるパイロクロア構造において、四面体の大きさが交互に異なる格子変調が導入されたクロム酸化物(LiACr4O8、AはInまたはGa)が最近合成され、我々はLiサイトのNMR実験を行った。その結果両物質とも、低温では格子変形を伴う反強磁性秩序を示すことが見出された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://masashi.issp.u-tokyo.ac.jp/