研究課題
遷移金属や希土類元素を含む強相関電子系やナノ磁性体の電子状態の研究を更に強力に推進した。まず(1)エネルギー8eV付近の極低エネルギー超高分解能光電子分光(ELEPES)で成功した低温でのSmB6近藤絶縁体の電子状態解明については、その後バルクの近藤半導体的振る舞いに加えて、表面金属トポロジカルDiracコーン的振る舞いが理論予測されたため、表面敏感な角度分解光電子分光で、スピン感度がこれまでより2桁高いFe-Oスピン検出器を用いたスピン偏極角度分解光電子分光を世界で初めて行った。その結果、4f電子状態の円偏光励起選択則による終状態のスピン偏極が顕著に観測された。Diracコーンのスピン偏極を確かめるには清浄表面作成後極めて短時間に無偏極の光を用いた測定が必要であることを世界に発信した。次に(2)これまでその電子状態について論争の絶えなかったCrO2について数百eVの軟X線光電子分光に加えて8000eVでの硬X線光電子分光、数eV での逆光電子分光を行い、それらを組み合わせてフェルミ準位近傍の新の電子状態の解明に成功した。また(3)2種類の絶縁体の界面に新たに生成する薄い金属層の電子状態を軟X線共鳴角度分解光電子分光の手法で世界で始めて解明した。さらに(4)momentum microscopeと呼ぶ二次元同時角度分解光電子分光装置を用いて広いブリルアン域の二次元ARPESに成功した。この装置に世界で初めての二次元スピン検出器をつけ、3次元波数空間でのこれまでより1万倍の感度でのスピン偏極測定にも成功した。また軟X線RIXSによる測定をVO2やCrO2について行った。さらにmK走査トンネル顕微鏡でミクロ結晶を測定できるようへきかい装置を開発し、Fe系超伝導体の低温STM, スピンSTMを10-1000meV程度の範囲でおこなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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