研究概要 |
1.単一周波数1178nmYb添加フォトニックバンドギャップファイバー(PBGF)増幅器の高出力化,狭線幅化を推進した。前置ファイバーラマン増幅器の最適化によりシード光出力を増加することで,誘導ブリルアン散乱フリーで25Wまでの増幅に成功した。線幅は増幅前後で320kHzと変わらない。SBS限界の高さとブリルアン利得スペクトルの形状から,PBGFは音響フォノンのアンチガイド効果により,通常のステップインデックスファイバーよりもSBSが抑制されていることを明らかにした。 2.Yb-PBGF発振器の研究に取り組んだ。両側をファイバー回折格子を有する通常ファイバーと融着した全ファイバー構成で,スロープ効率61%,出力54Wという世界最高出力の高効率PBGF発振器をYbの利得端の波長1178nmで実現した。また1150-1200nm波長可変光源を目指し,ボリューム回折格子によるYb-PBGF発振器の予備実験も行っている。 3.PBGFの長波長カットオフによる誘導ラマン散乱のための準備実験を行った。1080nm付近に長波長カットオフを有するYb-PBGFを設計,作製した。シード用にピークパワー1kW,パルス幅2ns,繰り返し周波数20kHzの単一周波数自己QスイッチNd:YAGレーザーを作製した。1064nm帯で高ピークパワー増幅を行い,誘導ラマン散乱抑制を実証する予定である。 4.LEDによるYb添加ファイバーのフォトダークニングのフォトブリーチング(PB)の研究を行った。波長385nmのLEDの側面照射により,0.5W/cm^2という低強度でもPBができることを明らかにした。これまで研究してきた407nmクラッド端面照射と同様,PBは一光子過程であることを明らかにした。
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