研究概要 |
計画の初年度である21年度は、「二波長発振注入同期連続波レーザーの開発」、「共振器内ラマン発生システムの構築」、「10THz離れた二波長の注入同期出力の位相同期」の課題の各要素技術を確立することに集中した。また、並行して、「ラマンコヒーレンスの連続波領域での断熱生成の理論」を構築する作業を進めた。 二波長発振注入同期連続波レーザーは、既に確立しているナノ秒パルスを出力光とする類似のシステム【文献17,Opt.Lett、文献9,Opt.Exp.,文献20,特許】を連続波励起に拡張する作業をおこなった。ここでは、共振器内の分散を制御し、発振する二波長を同時にラマン実験用の共振器にも整合させるところに困難が予想されたが、検討の結果、レーザー共振器の鏡のコーティングを注意深くデザインすることで対処可能であることがわかった。最終的に不十分ということが判明した場合には、電気光学素子による励起レーザー強度の制御システムを導入することで解決法を探る。二波長の注入同期出力の位相同期は大変高度な技術であるが、その基礎はこれまでの研究を通してすでに確立している。光周波数標準に安定化された光コムを介して、独立な二台の外部共振器制御半導体レーザーが互いに位相同期することを試みた。半導体レーザーと光コムは互いに4mHz以下の精度で位相同期されることが確認された。これらを種光として注入同期増幅した二波長の出力光の位相関係を安定化することを試みた。評価にはやはり光コムを用いた。この部分は現在も進行中で、評価結果をもとに、次のステップを具体的にどのように進めるか詰めていくことを計画している。
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