研究概要 |
本基盤研究は、「単一周波数化」、「短パルス化」などのこれまでの"レーザー光の極限化軸"とは独立に、「パルス列の高精度高繰り返し化」という新しい極限化技術の軸を開拓し、それと相補的に発展する光科学の研究分野を創出する端緒となることを目指すものである。具体的には、ナノ秒パルスレーザーを用いて確立した"超高繰り返し超短パルス光列の発生技術"を、連続波レーザーを励起光とする形に拡張することを試みる。単一周波数連続波レーザー光を出発点として、THzの超高繰り返しをもって発生する超短パルス列の連続生成を目指す。 計画の2年目である22年度は、初年度に引き続き、「二波長発振注入同期連続波レーザー」の要素技術を確立する作業を継続した。二波長発振注入同期連続波レーザーは、既に確立しているナノ秒パルスを出力光とする類似のシステム【文献17,Opt.Lett、文献9,Opt.Exp.,文献20,特許】を連続波励起に拡張する作業をおこなった。シード光のパワーを上げるために、3dbファイバーカップラーを導入し、かつ、共振器への空間モード結合効率を向上させるよう、光学系の設定、調整を追い込む作業をおこなった。また、シード光の周波数をパワーオシレーターのロッキングレンジ内に安定化するために、Pound-Drever-Hall法を用いてシード光をあらかじめ外部共振器に安定化し、しかるのちに、パワーオシレーターを外部共振器に追随させる方法を新たに開発した。以上の二点の改良によって、当初想定した性能にほぼ近い二波長発振注入同期連続波レーザーの動作を達成することができた。
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