本申請は、ナノ秒パルスレーザーを用いて確立した"超高繰り返し超短パルス光列の発生技術"を、連続波レーザーを励起光とする形に拡張することを狙いとするものである。単一周波数連続波レーザー光を出発点として、THzの超高繰り返しをもって発生する超短パルス列の連続生成を目指した。ここでの成果が、「単一周波数化」、「短パルス化」などのこれまでの"レーザー光の極限化軸"とは独立に、「パルス列の高精度高繰り返し化」という新しい極限化技術の軸を開拓する端緒となることを期待している。 最終年度である、平成23年度は、まず、理論から予想される最適な密度、温度にパラ水素を設定し、得られた結果と理論との比較をおこないながら、精密に現実の系における最適温度密度条件を詰める作業をおこなった。次に励起強度を変えながら、発生する誘導ラマン散乱光系列のスペクトルを系統的に調べた。この実験と並行して進めた理論的研究によると、励起には、最も高いコヒーレンスを生成できる最適な強度が存在することが予測された。この予測の確からしさが極めて重要なポイントとなると考えられたので、それを確かめる実験を計画し、注意深く遂行した。得られた高次の誘導ラマン散乱光のスペクトルと、その振る舞いについて、実験的な観点から、様々な条件下の測定データを蓄積した。
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