研究課題/領域番号 |
21340115
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大野 かおる 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40185343)
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研究分担者 |
RAEBIGER Hannes 横浜国立大学, 工学研究院, 助教 (20531403)
野口 良史 横浜国立大学, 工学研究院, 助教 (60450293)
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キーワード | 光捕集デンドリマー / GW+T-matrix計算 / 時間依存密度汎関数理論 / フタロシアニン / 光電気エネルギー変換 / ナノチューブ / フラーレン / 電子励起化学反応 |
研究概要 |
1.多数のC_<60>が直線状に融合して結びついた1次元ピーナッツ型フラーレンポリマーの安定構造とエネルギーバンドを第一原理計算し、どのような構造の場合に金属になるかの考察を行った結果がSynthetic Metalsに掲載された。 2.様々な太さの単層カーボンナノチューブにポリインやヘキサンなどの直鎖分子が自発的に内包される現象を第一原理計算により解析した結果がJournal of Physical Chemistry Aに掲載された。ポリインの両(片)端が水素終端していない場合には電子がナノチューブ側からポリイン側に移動する。その他の場合には弱い波動関数の重なりと電気四重極相互作用がエネルギー利得の主な原因である。 3.高分子鎖が架橋したゴムを高速でモンテカルロ・シミュレーションするプログラムを完成させ、ゴム弾性のシミュレーションを行った。この計算アルゴリズムはネットワークの自己組織化のシミュレーションに応用することができる。 4.密度汎関数理論(TDDFT)に基づくダイナミクス・シミュレーションにより、Niダイマーを触媒とするH_2の解離過程を検討し、弱い励起でスピルオーバーが可能であることを見いだした。(論文投稿中) 5.ナトリウム・クラスターのスピン偏極した奇数量体の光吸収スペクトルのクラスター・サイズ依存性を全電子スピン偏極GW+Bethe-Salpeter方程式に基づく精密第一原理計算により解析した。 6.発光素子として注目されているCdSeクラスターの非常に小さな微粒子として、(CdSe)3および(CdSe)6クラスターを考え、第一原理GW+Bethe-Salpeter計算による光吸収スペクトルの計算を行い、エキシトン励起状態を解析した。(論文投稿中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光捕集デンドリマーにC60を重なることにより、光捕集電荷分離機構が生ずることを時間依存密度汎関数理論に基づく電子励起ダイナミクス・シミュレーションによって明らかにできたことは本研究における大きな成果であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
光捕集デンドリマーの中心での光エネルギーの電気エネルギーへの変換については研究成果をあげることができたので、次年度(最終年度)は研究計画のもう一つの柱である、化学反応の促進について集中して取り込む予定である。
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