研究課題/領域番号 |
21340117
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小松崎 民樹 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30270549)
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研究分担者 |
李 振風 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (90397795)
寺本 央 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (90463728)
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キーワード | 化学反応ダイナミックス / 法双曲的不変多様体 / カオス力学系 / 遷移状態 / 一分子計測 / 複雑ネットワーク |
研究概要 |
力学系理論における標準形理論を散逸系に適用し、準安定状態を複数有する多次元平均力ポテンシャルを持つ(一般化)ランジュバン方程式の状態空間幾何学を調べた。その結果、系の持つ複数の自由度間の非線形相互作用、およびランダムな外力の存在下においても、それらに応じた適切な座標を構成してその座標に射影して見ることによって運動が単純な形になることを見出し、またその座標変換を得るための具体的な手法を構築することに成功した。この特別な座標で見ることにより、ランダム力の存在下にあっても少なくとも鞍部点近くの領域においては反応するものとしないものとを分かつ境界が存在し、反応の帰趨は系が鞍部点近傍に入った時点でこの境界面のどちら側にあるかのみで決まっていることを実証した。この境界面は本研究で導入した新しい座標がゼロになる場所として解析的に与えることができる。新しい座標は元の座標およびランダム力の非線形な(汎)関数であるが、その解析的な形を見ることにより系の反応性に影響を及ぼす因子を環境の熱ゆらぎの効果、非線形性の効果、およびそれらが複合的に組合わされた効果に分類して理解することができるなどを示した。 非マルコフ性を自然な形で取り込んだ状態遷移ネットワークを異なる時空間スケール毎に展開し、機械受容イオンチャネルMscLのパッチクランプ電流時系列データを解析した。その結果、膜に与える張力の大きさに依存して、キネテッィクスが多様な変化(指数緩和からべき緩和へ)を示すこと、ならびにそれらの背後に存在する状態に依存して滞在時間分布が多様に変化する状態遷移ネットワークが存在することが判明した。
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