研究課題/領域番号 |
21340124
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
綿田 辰吾 東京大学, 地震研究所, 助教 (30301112)
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研究分担者 |
森田 裕一 東京大学, 地震研究所, 教授 (30220073)
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キーワード | 伊豆大島 / カルデラ形成 / カルデラ陥没 / ピナツボ火山噴火 / 火山から発生する大気波動 / 火山から発生する音波 / 火山から発生する重力波 / 火山噴火による大気波動 |
研究概要 |
伊豆大島島内2カ所、三原西観測点と野間間伏観測点に広帯域圧力計(Tekelec社製MB2005)を設置整備した。これら観測点でセンサーは地中配管により地表4点空気取入口につながっており、大気擾乱による圧力変動ノイズの低減が期待できる。1991年ピナツボ火山噴火直後に世界中で見られた230秒と270秒の長周期表面波の起源が大気と固体地球の共鳴現象であること国内外の学会で発表した。国内では招待講演を行った(SGEPPS, 神戸)。また、2011年1月に発生した九州霧島火山新燃岳の噴火では爆発的噴火が発生し、近隣の構造物の窓ガラスなどが割れる被害が発生した。これら強力な空振現象を観測するため、4カ所(地震研究所霧島火山観測所2月3日、霧島市役所霧島総合支所3月17日、烏帽子観測点3月17日、大幡観測点4月8日)にMB2005を新たに設置して観測を開始した。また総合支所ではParoscientific社のnano-baro微気圧計を用いた平行観測、烏帽子ではプリモマイクを用いた同時平行観測を行った。 また、固体地球とカップルする流体として海洋海水を取り上げ、2010年チリ沖地震(M8.8)や2011年東北沖地震(M9.0)により発生した巨大津波が太平洋を伝播すると、観測走時が数値計算から予測される走時より系統的に最大20分程度遅くなる現象を解析した。津波の伝播時のエネルギーはほとんどが海水の位置エネルギーと運動エネルギーであるが、わずかに海水が圧縮・膨張されるエネルギーや、固体地球の弾性変形、さらには津波の海水移動にともなう質量変化に起因する重力ポテンシャルエネルギーの伝播速度への寄与があり、津波の伝播速度が低下していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2011年1月の霧島火山爆発直後の臨時観測をこなし、2011年東北沖地震による交通機関・物資輸送・電力資料削減の製薬の中で設置を三原島での島内広帯域観測点の建設を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
伊豆大島島内2点に加え、さらに2点の観測点を建設する。また、火山爆発・陥没などの地表観測での圧力変動が伝播する様子を数値計算で再現するコード開発を念頭に、火山爆発による圧力擾乱発生メカニズムや地表陥没による圧力擾乱メカニズムの力学的モデリングを行う。また、いったん発生した圧力擾乱が大気構造の中を伝播する様子を再現するため、密度・温度構造・水平風速ををもつ成層大気の応答関数を求める物理モデリングを行う。
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